落札率とは?計算式・高低の意味・活用方法を実務者向けに解説

落札率とは 計算式・意味・活用方法(サムネイル) 入札の基礎

落札率とは、入札の結果として決まった契約金額が、発注者が設定した予定価格に対してどの程度の割合だったかを示す指標のことです。

公共調達の透明性・競争性を測るバロメーターとして、発注機関・受注企業の双方が実務上よく参照する数値です。しかし「落札率が高い=悪い」「低い=良い」と単純には言えず、正しく読み解くには背景知識が必要です。

この記事では、落札率の定義と計算式から、契約方式・応札者数による違い、実務での活用方法まで、公共工事・物品役務を問わず使える知識を体系的に解説します。「予定価格に対してどのくらいの金額で入れればよいか」を考えるうえでの土台として、ぜひ最後まで読んでください。


落札率の定義と計算式

落札率の計算式を示すフロー図(契約金額÷予定価格×100)

落札率とは、契約金額を予定価格で割った比率のことです。会計検査院の報告でも「契約金額÷予定価格」として定義されています。

基本の計算式

落札率(%)= 契約金額 ÷ 予定価格 × 100

具体例:

予定価格契約金額落札率
1,000万円950万円95.0%
1,000万円800万円80.0%
1,000万円1,000万円100.0%

落札率が100%に近いほど予定価格ギリギリの価格で契約が成立したことを示し、低いほど予定価格を大きく下回る価格で落札されたことを意味します。

加重平均と単純平均の違い

複数件の落札率をまとめて分析するとき、国土交通省の資料では2種類の計算方法が示されています。

計算方法概要特徴
加重平均契約価格の総合計 ÷ 予定価格の総合計金額の大きな案件の影響を大きく受ける
単純平均各案件の落札率の合計 ÷ 総件数件数ベースで均等に扱う

大口案件が多い発注機関の分析には加重平均が向いており、件数ベースで傾向を見たいときは単純平均が参考になります。自分が分析するデータの性質に合わせて使い分けてください。


落札率の高低が示す意味

落札率の数値は、契約の競争性や経済性を読み取るヒントになります。ただし、会計検査院が指摘するように、予定価格の妥当性や契約方式の特性によっても変わるため、数値の高低だけで一律に良し悪しを判断することはできません。

落札率が高い(90〜100%)場合

  • 予定価格に近い金額で落札されており、競争による値下がりが小さい
  • 応札者が少ない、または1者しか応札しなかった可能性がある
  • 発注側から見ると、競争性が十分に機能していない状態とみなされる場合がある
  • 受注者にとっては、予定価格に近い水準での受注なので採算が取りやすい

落札率が低い(70%以下など)場合

  • 激しい競争が起きており、価格の経済性は高い
  • 一方で、過度に低い価格は品質低下・工事途中の不履行リスクを招く懸念がある
  • 発注機関によっては最低制限価格低入札価格調査制度を設けており、極端に低い入札を排除または調査する仕組みがある

落札率は競争性の指標であると同時に、受注者の採算性を映す鏡でもあります。発注側・受注側の両方にとって、適切な水準を把握することが重要です。


契約方式・応札者数による落札率の違い

契約方式と応札者数による平均落札率の違いを示す比較表

落札率は、どのような競争が行われたかによって大きく変わります。実際のデータを見ると、その差は一目瞭然です。

競争契約 vs 随意契約

情報システム契約に関する会計検査院の調査(平成20〜22年度)では、以下の結果が報告されています(出典)。

契約方式平均落札率
競争契約87.3%
随意契約98.6%

随意契約は競争なしに特定の業者と契約するため、落札率が予定価格の上限近くに張り付く傾向があります。一方、競争契約では複数者が価格を競うため、落札率が下がりやすくなります。

応札者数による違い

同じ競争入札でも、何者が応札したかで結果が大きく異なります。

応札状況平均落札率
1者応札96.0%
複数応札(2者以上)70.1%

1者しか応札しなかった場合の落札率は96.0%と、随意契約に近い水準になります。競争入札の形を取っていても、実態として競争が機能していないことを示しており、会計検査院の報告でも問題点として指摘されています。

この数字は受注企業にとっても示唆的です。他社が入ってこない案件では高い落札率での受注が期待できる一方、競合が多い案件ではより価格を下げる必要があるという価格戦略の判断材料になります。


落札率の公表状況と調べ方

発注機関は、調達の透明性確保のために落札情報を公表しています。自社が入札を検討している機関・工種の落札率を事前に調べておくことは、積算・価格戦略の精度を高めるうえで重要です。

主な公表先

国(直轄工事)

国土交通省の各地方整備局では、事務所ごとの平均落札率を定期的に公表しています。

これらのページでは、発注事務所ごとの平均落札率を確認でき、地域や工種ごとの傾向をつかむ参考になります。

地方自治体

都道府県・市区町村も入札結果を公表しています。各自治体の入札情報ページ(電子調達システム等)で落札結果を確認してください。

物品・役務(国)

各省庁の調達情報ページや「調達ポータル」(統一資格審査申請・調達情報検索サイト)でも落札結果が公開されています。

落札率データの読み方のポイント

  • 工種・業種別に分けて比較する:土木・建築・設備・委託など業種が異なれば落札率の水準も異なる
  • 直近3〜5年分を追う:年度によるブレを均す
  • 案件規模(予定価格帯)でフィルタする:規模が大きいほど競合が増え、落札率が下がる傾向がある

積算の具体的なやり方はこちらの記事で詳しく解説しています。


入札実務における落札率の活用方法

落札率データを活用した入札価格設定の4ステップ図

落札率は「過去データを分析して次の入札に活かす」ためのツールです。ここでは実務での使い方を整理します。

ステップ1:類似案件の落札率を収集する

入札を検討している案件と同じ発注機関・同じ工種・同じ規模帯の過去落札データを集めます。最低10〜20件分あると傾向がつかみやすくなります。

ステップ2:落札率の分布を確認する

集めたデータから平均値・中央値・最小値を計算します。

  • 平均落札率が85% → 予定価格の85%前後が競争の中心地帯
  • 最小値が75% → それ以下は最低制限価格に引っかかる可能性がある
  • 分布が95〜99%に集中 → 応札者が少なく競争が薄い可能性

ステップ3:自社のコストと照合する

積算によって算出した原価を落札率の水準と比較します。

  • 原価が予定価格の82%で、平均落札率が85% → 3ポイントの利益余地がある
  • 原価が予定価格の90%で、平均落札率が85% → 市場水準に合わせると採算が取れない可能性がある

このような分析が、撤退判断や共同企業体(JV)を組んでコストを分担するかどうかの検討材料になります。共同企業体(JV)の仕組みはこちらの記事でも解説しています。

ステップ4:入札書に価格を記載する

分析結果をもとに最終的な入札価格を決定します。入札書の書き方・記載ルールについてはこちらの記事を参考にしてください。


落札率を評価するうえでの限界と注意点

落札率を評価するうえでの3つの限界と注意点を示すカード図

落札率は有用な指標ですが、万能ではありません。実務で活用する際には以下の点に留意してください。

予定価格の設定水準が違えば比較できない

落札率は「予定価格に対する比率」です。発注機関が予定価格を厳しく(低く)設定していれば落札率は上がり、余裕をもって設定していれば落札率は下がります。異なる発注機関の落札率を単純に比較するのは危険です。

総合評価方式では価格だけが判断基準ではない

総合評価落札方式では、技術提案や企業実績なども評価されます。価格(落札率)だけを最適化しても、技術点が低ければ落札できません。技術評価点と価格のバランスを考えた戦略が必要です。

最低制限価格・低入札価格調査制度への注意

地方公共団体の工事案件では、予定価格に対して一定割合を下回る入札を自動的に失格とする最低制限価格制度が設けられているケースがあります。また、国の直轄工事では低入札価格調査制度により、著しく低い入札は履行能力の調査対象になります(即失格ではありませんが、調査の結果、失格になる場合があります)。

これらの制度の有無・水準は案件ごとに仕様書・入札説明書で確認することが必要です。


よくある質問(FAQ)

落札率100%はどういう意味ですか?

落札率100%は、入札者が予定価格と同額の価格で入札し、そのまま契約が成立した状態を指します。競争によって価格が下がらなかったことを意味するため、発注機関にとっては競争性が機能しなかったサインと捉えられることがあります。1者応札や随意契約に近い状況で発生しやすい傾向があります。

談合があると落札率はどうなりますか?

複数の業者が入札前に落札者や価格を事前に決め合う談合が行われると、競争が形骸化するため、落札率が不自然に高い水準(90%台後半〜100%近く)で安定する傾向があります。また、各案件の落札率のばらつきが極端に小さいことも特徴の一つとして指摘されています。ただし、落札率の高さだけをもって直ちに談合と判断することはできません。公正取引委員会が入札談合の調査にあたっては、価格データのほか様々な証拠を総合的に検討します。

自社の落札率を上げるにはどうすればよいですか?

「自社の落札率」を「入札において落札できる確率(入札成功率)」の意味で使っているなら、精度の高い積算・類似案件の落札データ分析・技術提案力の向上が有効です。一方、「自社が提示した価格が予定価格に対して高い割合になるようにしたい(採算をよくしたい)」という意味であれば、競合の少ない案件・分野を選ぶことが現実的な選択肢です。どちらの意味でも、入札で落札するためのコツはこちらの記事が参考になります。

落札率は工種・分野によって違いますか?

違います。一般的に、競合が多く参入障壁の低い案件(単純な物品購入・汎用的な委託など)は落札率が下がりやすく、高度な技術力や実績が要求される案件(大規模工事・専門性の高いシステム開発など)は競合が絞られるため落札率が上がる傾向があります。ご自身が参入する工種・業種の過去データを個別に調べることが重要です。

予定価格が非公表の場合、落札率は分かりますか?

入札前の予定価格が非公表(事後公表)の場合でも、入札結果公表時に予定価格と落札金額が両方開示される発注機関が多いため、事後に落札率を計算することは可能です。ただし、発注機関によって公表タイミングや公表内容が異なるため、各機関の入札結果ページを確認してください。


まとめ

落札率とは「契約金額 ÷ 予定価格」で計算される比率であり、調達の競争性・経済性を測る実用的な指標です。

この記事のポイントを整理します:

  1. 計算式は「契約金額 ÷ 予定価格 × 100」。加重平均と単純平均の2つの算出方法がある
  2. 随意契約(平均98.6%)は競争契約(平均87.3%)より落札率が高い(会計検査院調査)
  3. 1者応札(96.0%)と複数応札(70.1%)では落札率に大きな差がある
  4. 落札率は高い・低いだけで評価せず、予定価格の設定水準・契約方式・応札者数を合わせて読む
  5. 発注機関ごとの公表データを蓄積し、積算・価格戦略に活用するのが実務のポイント

落札率の分析を日常的な業務に組み込むには、案件情報の収集と落札結果の追跡を継続して行う必要があります。複数の発注機関にまたがる案件を毎日チェックし、落札結果も蓄積していくのは、手作業では相当な手間がかかります。

業種・地域・キーワードを組み合わせて必要な案件だけを絞り込み、新着情報を自動で受け取れる入札情報サービス「bidscope」を活用すると、日々の情報収集の時間を大幅に短縮できます。落札率の分析を活かした価格戦略を実践するためにも、まず案件を見落とさない仕組みを整えることが第一歩です。

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