GEPSとは、政府機関が共同利用する電子調達システムの愛称で、物品・役務の入札から契約・請求までを一貫してオンラインで処理できる仕組みのことです。
国の入札に参加しようとしたとき、「GEPSって何?」「調達ポータルとどう違うの?」と戸惑う担当者は少なくありません。この記事では、GEPSの定義・運用主体・対応している調達の種類から、利用権限の取得要件、印紙税・押印が不要になるメリット、そして調達ポータルへの統合の経緯まで、実務で必要な情報をまとめて解説します。

GEPSの基本:正式名称・運用主体・対応する調達の種類
GEPSとは「Government Electronic Procurement System」の略称で、日本語では「政府電子調達システム」と呼ばれます。デジタル庁が運用し、府省庁などの政府機関が共同利用する電子調達基盤です(出典:内閣法制局「電子調達システム(政府電子調達(GEPS))の利用について」)。
特定の省庁が単独で整備したシステムではなく、デジタル庁が運用し、複数の府省庁が共同利用する仕組みである点が重要です。「GEPSは国土交通省のシステム」などの誤解を見ることがありますが、正しくは政府全体で共有するプラットフォームです。
GEPSが対応している調達の種類
GEPSで電子的に処理できる調達は、大きく2種類に分かれます。
| 調達区分 | 内容の例 |
|---|---|
| 物品・役務 | 事務用品の購入、清掃・警備委託、システム開発・保守など |
| 一部の公共事業 | 建設工事、建設コンサルタント業務など |
入札公告の閲覧から入札書の提出、契約締結、請求書の発行まで、一連の調達手続きをインターネット経由で完結できます。これにより、従来は紙で行っていた書類のやり取りを大幅に削減できます。
調達ポータルとGEPSの関係:統合の経緯を理解する
GEPSという名称と「調達ポータル」という名称が混在していて混乱する方が多いですが、整理すると次のとおりです。
- 旧来のGEPSポータル(geps.go.jp)は、現在「調達ポータル」(p-portal.go.jp)に統合・リダイレクトされています。
- 調達ポータルが現在の正式な入口であり、GEPSという呼び名は通称・旧称として今も広く使われています。
- 実務上、「GEPSで入札する」「調達ポータルで公告を確認する」はいずれも同じシステムを指していると理解して問題ありません。
実際にgeps.go.jpにアクセスすると調達ポータルへ転送されるため、現場担当者はどちらの名称でも迷わず使えます。ただし、社内マニュアルや対外文書には現在の正式名称である「調達ポータル」で統一するのが望ましいでしょう。
調達ポータルの具体的な操作手順については、調達ポータルの使い方を解説した記事で詳しく紹介しています。
GEPSを使う3つのメリット:印紙税・押印・郵送コストの削減

GEPSを通じて電子調達を行う最大のメリットは、業務効率化とコスト削減です。主な3点を整理します。
① 電子契約書への収入印紙が不要
GEPSの利用権限を持つ当事者間で電子的に締結した契約書や請書には、収入印紙の貼付が不要です(出典:内閣法制局「電子調達システム(政府電子調達(GEPS))の利用について」)。契約金額が大きい案件では、印紙税の節減効果が無視できません。
② 代表者印が不要になる(電子署名に置き換え)
電子契約では、発注者側・受注者側とも、代表者印などの押印の代わりに電子証明書を用いた電子署名で契約を締結します(出典:内閣法制局)。印鑑証明の取得や書類の郵送・持参が不要になり、手続きのリードタイムを短縮できます。
③ 入札書提出から請求書発行まで一気通貫
電子入札だけでなく、電子見積書・電子契約書・電子請求書もGEPS上で発行・管理できます。書類の紛失リスクや郵便コストを抑えられるほか、担当者が変わっても履歴を一元管理できるメリットがあります。
GEPSの利用権限を得る方法:2つの調達区分で異なる要件

GEPSには「閲覧だけできるモード」と「入札・契約まで行える利用権限モード」があります。それぞれの要件を確認しましょう。
閲覧のみ(システム利用権限なし)
誰でも追加手続きなしに、調達ポータル上で調達公示・仕様書・開札結果などの調達関係書類を閲覧・ダウンロードできます(出典:内閣法制局)。国の入札案件の内容を調べたいだけであれば、登録は不要です。
物品・役務の入札に参加する場合
実際に入札に参加するには、以下の2条件が必要です(出典:内閣府「電子契約の推進について:調達情報」)。
- 全省庁統一資格の保有(物品・役務の国の入札参加資格)
- 電子証明書の保有(代表者名義またはそれに準じる名義)
全省庁統一資格は、原則として3年(3か年度)ごとに更新が必要な資格です。現在の有効期間は令和7年4月1日〜令和10年3月31日(令和7・8・9年度区分)です。随時審査で取得した場合は取得時点から区分の満了日までとなるため、定期審査での取得と有効期間が異なります。
建設工事・建設コンサルタントの入札に参加する場合
こちらは物品・役務とは異なる資格体系になります。
- 各省庁が発行する入札参加資格(建設工事・建設コンサルタント向け)の保有
- 電子証明書の保有
建設工事の場合は「建設業許可」と「経営事項審査(経審)」の取得が前提となるため、参入要件が物品・役務より複雑です。物品・役務の全省庁統一資格と混同しないよう注意してください。
実務でのGEPS活用:案件情報の探し方から入札参加まで

GEPSを活用した実務の流れを、ステップごとに整理します。
ステップ1:調達ポータルで公告を探す 調達ポータル(p-portal.go.jp)にアクセスし、キーワード・省庁・調達区分などで案件を検索します。利用権限がなくても閲覧は可能です。
ステップ2:仕様書・入札説明書をダウンロードする 案件詳細ページから調達関係書類を入手します。参加要件や評価基準をここで確認します。
ステップ3:利用者登録(電子証明書の登録) 初めて入札に参加する場合は、GEPSへの利用者登録と電子証明書の登録が必要です。電子証明書はあらかじめ認定認証機関(商業登記認証局等)から取得しておく必要があります。
ステップ4:入札書の提出・開札 電子入札システム上で入札書を提出します。開札結果も調達ポータルで確認できます。
ステップ5:電子契約・電子請求書の発行 落札後は電子契約を締結し、履行完了後に電子請求書を発行します。全工程がオンラインで完結します。
GEPS(調達ポータル)だけでは足りない?入札情報収集の限界と効率化
GEPSは国の調達に特化したシステムです。都道府県・市区町村など地方自治体の入札情報は掲載されていません。また、国の案件であっても、省庁ごとに独自のページで公告する場合があり、調達ポータルだけですべての国の案件を網羅できるとは限りません。
実際に複数の官公庁の入札情報を効率よく集めようとすると、各機関のサイトを個別に巡回する作業が発生します。国・都道府県・市区町村を合わせると対象機関は膨大になるため、毎朝の確認作業に多くの時間を取られがちです。

入札情報の探し方を体系的に解説したこちらの記事では、調達ポータル以外の情報源と効率的な収集方法を紹介しています。
案件数が増えてきたら、締切の管理も重要な課題になります。入札の締切管理について詳しく解説した記事も参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
GEPSと調達ポータルは別のサービスですか?
実質的に同じシステムです。「GEPS」は政府電子調達システムの愛称・通称で、以前はgeps.go.jpがポータルとして機能していました。現在はそのポータル機能が「調達ポータル」(p-portal.go.jp)に統合されており、geps.go.jpへのアクセスは自動的に調達ポータルへ転送されます。
GEPSの閲覧だけなら登録不要ですか?
はい、利用者登録をしなくても、調達ポータル上で入札公告・仕様書・開札結果などの調達関係書類を閲覧・ダウンロードできます。入札や電子契約の手続きを行う場合のみ、全省庁統一資格の取得と電子証明書の登録が必要になります。
GEPSで電子契約を締結すると収入印紙は不要ですか?
GEPS上で締結した電子契約書・請書については、収入印紙の貼付は不要です。ただし、この取り扱いはGEPSの利用権限を持つ当事者間での電子契約に限られます。印紙税法上の取り扱いの詳細は、発注機関または税務署に確認することをお勧めします。
全省庁統一資格と電子証明書の両方が必要ですか?
物品・役務でGEPSを通じた入札に参加するには、全省庁統一資格の保有と電子証明書の保有の両方が必要です。どちらか一方では不十分です。電子証明書は認定認証機関から別途取得する必要があるため、入札参加を検討し始めたら早めに準備を進めることをお勧めします。
地方自治体の入札情報もGEPSで調べられますか?
調べられません。GEPSおよび調達ポータルは国(府省庁等)の調達に特化したシステムです。都道府県・市区町村などの地方自治体の入札情報は、各自治体が運用する電子入札システムや入札情報公開サービスで確認する必要があります。
まとめ
GEPSは、国の物品・役務調達および一部の公共事業に関わる電子調達の基盤システムです。現在は調達ポータルに統合されており、調達公示の閲覧は誰でも無料で行えます。実際に入札に参加するには、物品・役務であれば全省庁統一資格と電子証明書の取得が必要です。電子契約では収入印紙不要・押印不要というメリットもあり、業務効率化の観点でも活用する価値があります。
一方で、GEPSはあくまで国の調達に特化したシステムであり、自治体案件を含めた幅広い入札情報を一元的に把握したい場合には、別途情報収集の工夫が必要です。複数の官公庁サイトを毎日巡回するのが負担に感じている方には、業種・地域・キーワードを組み合わせて横断検索できる入札情報サービスの活用が効率化の一つの手段になります。
bidscope は、国・自治体を横断して入札情報を検索・管理できる無料から使えるサービスです。毎朝の情報収集にかかる時間を短縮したい方は、ぜひ一度試してみてください。






