電子入札の始め方|ICカード取得から利用者登録まで完全ガイド

電子入札の始め方 ICカード取得から利用者登録まで(サムネイル) 参加の準備

電子入札とは、インターネットを通じてパソコン上で入札手続き(入札書提出・開札など)を完結させる仕組みのことです。

官公庁への入札参加を検討している担当者にとって、「電子入札」は避けて通れない仕組みです。しかし実際に始めようとすると、「ICカードって何?」「パソコンの設定は?」「どこから手をつければいいのか分からない」と戸惑う方が少なくありません。

この記事では、電子入札を初めて始める中小企業の担当者向けに、準備から利用者登録までの全体的な流れを手順ごとに解説します。国土交通省や神奈川県・大阪市など複数の公式情報をもとにまとめているので、手続きの全体像を把握するのに役立ててください。


電子入札始め方の全体フロー図

電子入札を始める前に知っておくべき前提

入札参加資格とICカードは別物

電子入札を始めるにあたって、まず理解しておきたいのが「入札参加資格の取得」と「ICカードの取得」は別々の手続きだということです。

神奈川県の電子入札情報ページでも明記されているとおり、ICカードは個々の電子入札案件に参加するときに必要なもので、入札参加資格の申請時には必要ありません出典:神奈川県電子入札システム利用準備)。

つまり手順としては、まず入札参加資格を取得し、承認が下りた後にICカードを準備して電子入札の利用者登録を行う、という流れになります。

入札参加資格そのものの概要については、入札参加資格の基礎知識をまとめた記事もあわせてご覧ください。

電子入札システムは発注機関ごとに異なる

国が運用する電子入札システムと、都道府県・市区町村が運用するシステムは別々に存在しています。代表的なものを下表で整理します。

発注機関主なシステム名備考
国土交通省の直轄工事国土交通省電子入札システム(e-bisc)運用時間8:30〜18:00
農林水産省の調達農林水産省電子入札システム(maff-ebic.go.jp)
国の物品・役務調達調達ポータル(政府電子調達)全省庁で共通利用
神奈川県神奈川県電子入札システム電子入札コアシステム採用
大阪市大阪市電子調達システム参加資格申請も電子入力
埼玉県埼玉県電子入札システム電子入札コアシステム採用

多くの都道府県・政令市は「電子入札コアシステム」と呼ばれる共通基盤を採用しているため、基本的な準備の流れはほぼ共通しています。ただし細かい設定や利用者登録の画面は発注機関ごとに異なるため、参加したい発注機関の公式ページも必ず確認してください。


電子入札を始めるための6ステップ

電子入札に必要なICカードとICカードリーダとパソコン

国土交通省電子入札システムの利用ガイドをもとにした準備手順は、大きく以下の6段階に整理できます。

  1. 必要な機器と環境の確認
  2. ICカードとICカードリーダの取得
  3. 電子入札補助アプリのインストールと許可URL設定
  4. 利用端末の設定と確認
  5. 接続確認(テスト)
  6. 電子入札システムの利用者登録

以降のセクションで、それぞれを詳しく解説します。


ステップ1・2:ICカードとICカードリーダを準備する

ICカードとは何か

電子入札で使うICカードは、入札者の本人確認と電子署名のために使う「電子証明書入りのカード」です。銀行のキャッシュカードに似た形状ですが、内蔵されたICチップに企業・担当者の証明情報が格納されています。

重要なのは、すべてのICカードが使えるわけではないという点です。電子入札コアシステムに対応した認証局(民間の認証事業者)から取得・購入したICカードのみが利用可能です(出典:神奈川県電子入札システム利用準備)。

誰の名義で取得するか

ICカードの名義は、会社の代表者、または入札権限を委任された受任者である必要があります。担当者個人が勝手に取得できるものではなく、会社として権限を持つ人物の名義で申請・取得します。

社内で入札業務を担当する従業員が代表者から「入札代理権限」を受ける形が一般的です。

認証局の選び方と費用の目安

電子入札コアシステムに対応する認証局は複数あります。選定にあたっては以下の観点を確認してください。

  • 参加したい発注機関のシステムに対応しているか
  • ICカードの有効期限と更新費用
  • サポート体制(電話・メール対応の有無)
  • 発行までの所要日数

費用(初回取得・年間維持費等)は認証局によって異なります。各認証局の公式サイトや問い合わせ窓口で最新の料金を確認してください。発行まで数日〜2週間程度かかるケースもあるため、案件の締切から逆算して早めに手配するのがポイントです。

ICカードリーダの準備

ICカードはパソコンに直接差し込むのではなく、USB接続のICカードリーダを介して読み込みます。認証局が推奨する対応機種を確認してから購入してください。家電量販店やオンラインショップで入手できます。

ICカードに記載されている住所・商号などの情報に変更が生じた場合は、速やかに認証局へ失効申請を行い、新しいカードを取得する必要があります。変更後もそのまま使い続けることはできません(出典:神奈川県電子入札システム利用準備)。


ステップ3・4:パソコンの設定と補助アプリをインストールする

電子入札補助アプリのインストール画面イメージ

対応ブラウザの確認

電子入札コアシステムは、現在 Microsoft Edge および Google Chrome での利用が標準となっています。令和4年(2022年)5月以降は、これらのブラウザで電子入札システムを使う際に「電子入札補助アプリ」の最新バージョンが必要です(出典:神奈川県電子入札システム利用準備)。

Internet Explorerはすでにサポートが終了しているため、使用できません。古いパソコンで旧ブラウザを使い続けている場合は、この機会に環境を整備しましょう。

電子入札補助アプリのインストール手順

  1. 参加予定の発注機関の電子入札ポータルページにアクセスする
  2. 補助アプリのダウンロードリンクを確認する
  3. インストーラを実行してアプリをインストールする
  4. 「許可URL」の登録を行う(発注機関のURLをアプリに登録してICカードとの通信を許可する設定)

「許可URL」の登録を忘れると、ICカードを差し込んでもシステムに認識されない場合があります。手順書をよく読んで設定してください。

その他のパソコン設定

  • JavaScriptの有効化:ブラウザの設定でJavaScriptが有効になっているか確認する
  • ポップアップブロックの解除:電子入札システムのURLに対してポップアップを許可する
  • セキュリティソフトの設定確認:セキュリティソフトが電子入札システムの通信をブロックしていないか確認する

ステップ5:接続確認(テスト環境での動作確認)

本番環境で操作ミスをしないよう、多くの電子入札システムではテスト用の体験環境(テストシステム)を提供しています。本番利用の前に、テスト環境で以下を確認しておくことを強くお勧めします。

  • ICカードがシステムに正常に認識されるか
  • ログイン(ICカード認証)が正常に完了するか
  • 入札書の作成・提出の一連の操作ができるか

国土交通省の電子入札システム(e-bisc)の運用時間は 平日8:30〜18:00(土日祝・年末年始12/29〜1/3を除く)です(出典:国土交通省電子入札システム利用ガイド)。接続確認はこの時間帯内に行いましょう。


ステップ6:利用者登録を行う

電子入札システムの利用者登録ステップ図

利用者登録とは

テスト接続が問題なく完了したら、いよいよ本番環境での利用者登録です。これは「このICカードはこの企業・この担当者のものです」という情報をシステムに登録する手続きで、電子入札システムにログインした状態で行います(出典:神奈川県電子入札システム利用準備)。

業種系統ごとの登録

神奈川県の事例では、認定を受けている業種により以下のいずれかまたは両方に登録します。

系統対象業種
工事系建設工事・コンサルタント(土木・建築など)
物品系物品調達・一般委託(清掃・印刷など)

複数の業種で参加資格を保有している場合は、それぞれの系統で利用者登録が必要になります。登録漏れがないよう、参加資格の認定内容を確認しながら進めてください。

登録後の注意点

  • 利用者登録完了後、システムへのログインが可能になるまでに時間がかかる場合があります
  • ICカードの有効期限が切れる前に更新手続きを行ってください(失効後は利用者登録のやり直しが必要になる場合があります)
  • 担当者交代や会社移転等でICカードの記載内容が変わった場合は、速やかに認証局へ連絡し新しいカードを取得してください

入札参加資格の取得:電子入札と並行して進めること

電子入札の準備と並行して、必ず入札参加資格の取得も進める必要があります。参加資格なしでは、いくら電子入札の環境を整えても案件に応募できません。

  • 国の物品・役務:全省庁統一資格の取得が必要です。詳しくは全省庁統一資格の取り方を参照してください。
  • 国の建設工事:建設業許可と経営事項審査(経審)の取得が前提です。経営事項審査(経審)とは何かもあわせて確認しておくと良いでしょう。
  • 自治体:各都道府県・市区町村ごとに競争入札参加資格の登録が必要です。

電子入札の利用開始に必要なICカードは、資格取得後に準備するのが基本の流れですが、認証局でのICカード発行には数日〜2週間程度かかることもあります。スケジュールに余裕を持って段取りを組みましょう。


トラブルが起きたときの相談窓口

電子入札の準備中や利用中に問題が発生した場合、以下の窓口に問い合わせることができます。

国土交通省電子入札システム(e-bisc)ヘルプデスク – 電話:03-6633-7118 – 受付時間:平日9:00〜17:00(土日祝・年末年始を除く) – ヘルプデスク情報(公式)

各都道府県・市区町村のシステムについては、それぞれの発注機関が設置するヘルプデスクに問い合わせてください。ICカードそのものに関する問題(認識しない、パスワードを忘れた等)は、認証局のサポート窓口が担当します。


よくある質問(FAQ)

ICカードは1枚で複数の発注機関に使えますか?

電子入札コアシステムに対応した認証局のICカードであれば、同じカード1枚で複数の発注機関(コアシステムを採用する都道府県・市区町村など)の電子入札システムに利用者登録することが可能です。ただし、コアシステムを採用していない独自システムの場合は別途確認が必要です。参加予定の発注機関が採用するシステムを事前に確認してください。

ICカードの取得前に入札参加資格の申請はできますか?

できます。ICカードは電子入札の案件に参加するときに必要なもので、入札参加資格の申請時には不要です。大阪市でも、参加資格の承認が下りた後にICカードを購入する流れが案内されています(出典:大阪市電子調達システム)。まず資格申請を進め、承認後にICカードを準備するのが一般的な手順です。

担当者が変わった場合、ICカードはどうすればよいですか?

ICカードは名義人(代表者または受任者)が変わった場合、または住所・商号など記載事項に変更があった場合は、認証局に失効申請を行い、新しいカードを取得する必要があります。前任者のICカードをそのまま引き継いで使い続けることは認められていません。担当者交代が決まったら早めに手続きを開始してください。

電子入札補助アプリのインストールはどこからできますか?

参加したい発注機関の電子入札ポータルページに、補助アプリのダウンロードリンクが掲載されています。国土交通省の場合はこちらのガイドページから確認できます。インストール後は「許可URL」の登録も忘れずに行ってください。

電子入札に対応していないシステムの案件には参加できませんか?

一部の発注機関や少額案件では、電子入札ではなく紙による入札(紙入札)を採用しているケースもあります。発注機関から紙入札の承認を得ることで参加できる場合がありますが、近年は電子入札への移行が進んでいます。希望する案件の入札方式は公告文で確認してください。


まとめ

電子入札を始めるための準備は、大きく「ICカード・ICカードリーダの取得」「パソコンと補助アプリの設定」「利用者登録」の3つに分けられます。それぞれ発注機関によって細部の手順は異なりますが、電子入札コアシステムを採用している機関であれば基本的な流れは共通しています。

特に注意したいのはスケジュール管理です。ICカードの発行には時間がかかるため、参加したい案件の締切から逆算して早めに手配を始めてください。また、ICカードの名義変更や有効期限の管理も見落としがちなポイントです。


電子入札の環境が整ったら、次に重要になるのが「どの案件を狙うか」という情報収集です。各省庁や自治体のサイトを個別に巡回して案件を探すのは、慣れないうちは特に手間がかかります。

業種・地域・キーワードを組み合わせて全国の入札情報を一元検索できる bidscope では、新着案件の自動メール通知や締切管理にも対応しています。電子入札の準備が整ったタイミングで、案件の探し方も効率化しておくと、機会の見落としを防ぎやすくなります。

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